1.「医療ビッグデータ」への取り組み―第一生命保険との共同研究―
生命保険業界では,健診結果・医療報酬明細書(レセプト)などの医療ビッグデータを活用した新しい商品開発や,リスク査定手法の高度化などに注目が集まっている。日立は,長年取り組んできた医療費予測技術などの医療データ分析技術を強みとして,保険会社向けリスク分析事業の創生に挑戦している。
現在は,医療ビッグデータ分析技術の確立とユースケース蓄積を目的に,第一生命保険株式会社との共同研究を進めており,第一生命保険が保有する保険加入時の告知・健診情報と実際の支払い情報を分析することで,加入時の健康状態から将来の疾病別入院日数を予測するモデルを開発した。
これを活用することにより,第一生命保険はこれまで入院リスクが高いと判断し申込を断っていた高血圧関連の疾病を持つ申込者について,引受を可能とするよう基準の改定を行い,新規顧客の獲得に成功した。
今後は,複数年分の健康状態の変化から将来の病態遷移を予測する技術を開発し,リスク分析技術のさらなる高度化による保険業界への貢献をめざす。