1.磁性材料データベース可視化システム
磁性材料データベース可視化システムは,磁性材料内部の磁気構造に関する大量のシミュレーションデータや量子ビーム実験※1)データをナノレベルの精度で詳細に解析し,Webブラウザ上で三次元表示するシステムである。
磁性材料開発ではマイクロサイズの材料組織構造をナノレベルで解析するため,材料1種類当たりのデータは約150億件,容量にして7テラバイトにも上る。大量のデータの解析・可視化に多くの時間を要するため,従来は平均値など大まかな統計量しか解析できなかったが,本システムでは,高速データアクセス基盤Hitachi Advanced Data Binderプラットフォーム※2),データ統合・分析基盤Pentahoソフトウェア,GeoMation地理情報システム※3)を活用することでデータを迅速に処理・可視化し,磁性材料の高性能化につながる要因の予測や特定が可能となった。また,量子ビーム実験のデータを解析・可視化することで,ある磁性材料がシミュレーションと同様の磁気構造を持つかどうかを評価できる。これにより実験前のシミュレーション・検討が可能となり,実験回数や関連コストの削減など材料開発の効率化に貢献する。
今後は本システムを用いて,電気自動車やハイブリッド自動車など次世代自動車のモータ用高性能磁石など,新たな磁性材料開発の効率化に貢献していく。
- ※1)
- 中性子などのビームを材料に当て,当該材料の原子・分子構造や機能を明らかにする実験。
- ※2)
- 内閣府の最先端研究開発支援プログラム「超巨大データベース時代に向けた最高速データベースエンジンの開発と当該エンジンを核とする戦略的社会サービスの実証・評価」(中心研究者:喜連川優 東京大学教授/国立情報学研究所所長)の成果を利用。
- ※3)
- 株式会社日立ソリューションズが開発・販売する地理情報システム。