1.複雑な風況変化による風車への影響を評価する解析技術
風力発電のための風車の導入が欧米や日本で加速しており,日本では山岳地への導入が進んでいる。日立は,翼がタワーの下流側にある,山岳地に適したダウンウィンド風車を製品化している。
風車の導入時には発電量や損傷度を評価する必要があり,従来は欧州のような平坦地を規準とした規格に沿った風のモデルを用いていた。このモデルでは,特に日本における山岳地のように複雑な地形の風況変化を再現することは難しく,風車1基ごとに発電量や損傷度が変化するという課題があった。そこで,風速および風の乱れを抽出した風況解析結果を,風荷重や発電量を翼素運動量理論に基づき計算する風車解析ソフトに組み込んだ。これにより,地形の影響による風況変化を考慮した発電量評価および損傷度評価が可能となった。地形の影響を適切に評価するこの手法により,従来の手法に比べて発電量は大きくなり,損傷度についても,従来の手法では考慮できない荷重変動を評価できるようになった。
今後,この手法を風車導入時の検討に役立てていく。