1. 証券・取引所売買業務での不正取引発見へのAI適用
証券業界では,株式や債券の自動売買,口座開設や融資の審査などへのAI(Artificial Intelligence)適用が進んできている。
こうした流れの中,従来,専門の担当者が必須であった株式取引の売買審査業務において,日立のHitachi AI Technology/H(以下,AT/Hと記す。)を活用し,不正の可能性のある取引の絞り込み作業を代替することが実施されている。熟練した審査担当者のノウハウを基に過去の取引データ,不正判定結果,市場データを加工してAT/Hに読み込ませ,審査担当者のリスク判断を数値化するモデル式を生成した。取引データを本モデル式に代入することで,審査担当者と同等のリスク判断が可能となり,最終的に人がチェックする対象取引が減少し,業務効率化が図れる。2018年9月時点で,複数社が導入済みである。
今後は,さらなる高度化に向けて,より多くの不正取引手口(不正取引の形態)へのAT/Hモデル適用を進めるとともに,株式以外の金融商品や,その他商取引行為全般への適用範囲の拡大を図っていく。