1. Society 5.0を支える電力システムの実現に向けて
Society 5.0における将来のエネルギーシステムについて提言を進めている。2016年6月には,産学協創の新たなスキームとして東京大学と「日立東大ラボ」を設置した。このラボを通じて,再エネ(再生可能エネルギー)の導入拡大,分散化,デジタル化,電化・電動化などを取り込んだ新しいシステムへの移行が不可避的に進んでいく状況において,技術的課題や政策・制度的課題を抽出し,関係者と問題意識の共有を図りながら,提言として公開している※)。
経済・社会・産業の構造が急速に変化する中で,さまざまなインフラと互いに連携・協調し,地域社会に適したエネルギーシステムの構築が求められている。一方,再エネ導入による地域的偏在や時間的変動のため,一つの地域社会でエネルギー需給や価値のやり取りが閉じることは難しい。基幹システムが複数の地域社会をつなぎ,システム全体を調整する役割を果たす。地域社会のエネルギーシステムと基幹システムとの役割は画一的でなくなり,共存を前提として再構築していく。