1. 製造ノウハウのデジタルカプセル化技術
製造業では,熟練作業者が持つ高度なノウハウにより高い品質や生産性を維持してきたが,近年,熟練作業者の高齢化が進んできており,熟練者が持つノウハウの伝承が喫緊の課題となっている。
そこで,製造現場から得られる4M(Man,Machine,Material,Method)データを収集,分析することで,ノウハウをデジタル化し,再利用可能とするノウハウのデジタルカプセル化技術を開発している。
生産性の低下要因を推定したり,装置の操作パラメータを調整したりするノウハウを,動画データから抽出した作業者の動作や姿勢,装置から収集した操作ログや設備稼働情報/アラーム,加工対象物の属性など,4Mデータ間の因果関係を分析しモデル化する。このモデル化されたノウハウは,ノウハウを提供したユーザー内で利用するだけでなく,製造委託先など提供ユーザーの指定する開示範囲に基づき,他のユーザーでも利用可能とする。その際,モデルの内容はカプセルとして秘匿化するため,ノウハウを流出させずに他のユーザーへ提供できる。
ノウハウのモデルを応用した一例として,生産性分析サービスを構築している。ノウハウのモデルにより,生産性の低下要因を分類・可視化することで,改善策の立案を支援する。本サービスは,協創プロジェクトを行っているオークマ株式会社の製造ラインにて実証実験を行っており,その成果をオークマの工作機械を利用するユーザー企業に提供することで,製造業全体の生産性向上に貢献していく。