2022 Vol.104 No.3 Industrial Technologies to Support Future Earth持続可能な社会のための水・産業ソリューション
世界情勢が急速に変容する中,エネルギーや資源,食料問題などが深刻化し,地球環境にさまざまな影響を及ぼしている。
そうした中,日立グループは持続可能な社会を実現するため,「グリーン」,「デジタル」,「イノベーション」を軸とした新たな中期経営計画を発表した。
本特集では,事業活動を通じて環境分野への貢献を続ける日立の水・産業分野におけるさまざまな取り組みを幅広く紹介する。
Cover Story
持続可能な社会を支えるネットポジティブなエクセレントカンパニーへ
データとテクノロジーの力で豊かな社会と自然共生の実現をめざす
環境・クリーン化技術のOTドメインナレッジを起点に,産業・公共分野の顧客やパートナー企業との協創を通じて,プロセスエンジニアリングとデジタルを組み合わせ,つなげていくことで価値を創出する水・環境ビジネスユニットの取り組みを,中津英司執行役常務 水・環境ビジネスユニットCEOが語る。
お客様の環境負荷低減と経済価値の向上の両立に貢献
協創とデジタルによる経営課題の解決
顧客やパートナー企業との協創を通じて,レジリエントなサプライチェーンの構築に寄与するデジタルソリューションをはじめ,「IT×OT×プロダクト」の連携によるトータルシームレスソリューションを展開し,環境分野への貢献を続けているインダストリアルデジタルビジネスユニットの取り組みを,執行役常務 インダストリアルデジタルビジネスユニットCEOの森田和信が語る。
多角的な連携で築く持続可能な未来
資源循環と脱炭素に挑むデジタルソリューション
地球環境が劇的に変化する中,人類は気候変動やエネルギー問題,資源の枯渇といった多くの課題に直面している。こうした中,日立は,環境に配慮した技術やソリューションを開発し,パートナー企業やステークホルダーとの協創を通じた持続可能な社会の実現をめざしている。ここでは,京都大学大学院工学研究科 都市環境工学専攻の高岡昌輝教授を迎え,日立グループのキーパーソンと共にグローバルな環境保全の取り組みの動向と持続可能な未来社会の姿について展望する。
富谷モデルの水素サプライチェーンを全国へ
既存物流網と水素吸蔵合金の活用で安心・安全を実現
日本では東日本大震災を機にエネルギー政策の大幅な見直しが行われ,自然エネルギーとして太陽光や風力などの活用が進展したが,これらのエネルギーはその特性から主電源になりにくい。こうした中,新しいエネルギーとして水素が注目を集めている。水素サプライチェーン構築に向けて積極的な取り組みを進めている宮城県富谷市の事例について,それぞれのプロジェクトに携わったキーパーソンに話を聞いた。
「事故ゼロ」に貢献する物流ソリューションSSCV-Safetyの協創
安全・健康・環境価値に資する物流DXを推進
産業構造や消費者の購買行動が変化する中で,物流は今やインフラとして社会に不可欠なエッセンシャルワークとなっている。一方で,慢性的な人手不足や高齢化,疲労に起因する交通事故,環境負荷軽減など物流業界が直面する課題は数多い。
それらの克服をめざし,日立物流は,物流を進化させるDXの実現に向けたSSCVを開発・提供している。
SSCV-Safetyはどのような背景から生み出され,物流業界の革新にどう貢献していくのか協創プロジェクトのキーパーソンに聞いた。
GLOBAL INNOVATION REPORT
上下水道の国際標準化への取り組み
専門委員会ISO/TC 224への貢献
水環境分野では近年活発に国際標準化活動が進められており,国際標準化団体の一つである国際標準化機構では,水質,上下水道,水の再利用や汚泥処理などの専門委員会が,それぞれの分野の国際規格づくりを精力的に行っている。
上下水道の分野では,フランスの提案による専門委員会ISO/TC224が2001年に発足し,20年余りが経過した。日本は発足当初から官民で連携して参加しており,日立製作所も国内あるいは国際委員として活動に寄与してきた。
ここではこの専門委員会の活動を,2012年から専門家として10年間参加してきた筆者の立場から振り返るとともに,日本の貢献事例や最新の動向を報告する。
FEATURED ARTICLES
水事業のデジタル化に貢献する水環境ソリューション
水資源の偏在や枯渇,水質汚染など,世界各地で水に関するさまざまな課題が顕在化しており,環境保全の観点からも早急な対策が求められている。
そうした中,日立グループは,データ利活用や脱炭素化,資源循環に貢献するソリューションを開発・提供し,顧客やパートナー企業との協創を通じて,水環境の維持・改善に努めている。
Overview
インダストリー分野のレジリエントな経営を実現する産業ソリューション
世界規模での環境意識の高まりを受けて,インダストリー分野でもカーボンニュートラルや資源循環に重点を置く企業が増加しており,環境課題に対応するソリューションが広く求められている。
そのような潮流の中,日立グループは,社会を支えるシステムの効率向上やレジリエントなサプライチェーンの構築に寄与するデジタルソリューションで,顧客企業の期待に応えている。