2015年にIoT(Internet of Things)を構成したコネクテッドデバイスの数は約150億に上った。こうしたデバイス[スマートフォンやRFID(Radio-frequency Identification)チップ,無線センサー]によって集められたデータはWebベースのサービスを促進し,輸送やメディアといったセクターを揺るがしてきている。しかし,大きな変化はこれからである。コネクテッドデバイスの数は2020年には300億以上になると予想されている。それまでに自動車,エネルギー生産,エンジニアリングといった既存業界の企業はデジタル化に適応しなければならない。さもなければ,インターネットに精通した新しいタイプの企業に取って代わられるだろう。こうした新興企業は何が違うのか。それは,異種情報源から顧客データや製品データを収集・活用し,顧客のニーズとユーザビリティに重点を置く革新的なビジネスモデルを展開する能力を身につけている点である。
ドイツでは,このようなデジタル化とそれに伴う取り組みが「Industrie 4.0」として知られるようになった。この呼び方は,ドイツ工学アカデミー(acatech)が旗振り役を務め,産学の専門家から成る作業グループによって2011年に命名された。当時私たちは,デジタル化とIoTが第四次産業革命を起こしつつあると信じたからである。それは過大評価だっただろうか。私はそうは思わない。