2021 Vol.103 No.4 Technologies for Sustainable Cities & Mobility安全・安心な移動と都市空間の実現に向けたモビリティ
新型コロナウイルスの感染拡大によって人の移動が制限される一方,パンデミック収束後の世界を見据えた議論が広がっている。気候変動や都市への人口集中といった社会課題が山積する中,少ないCO2排出量で都市間を結ぶ鉄道と,高層化するビル内の移動を担う昇降機は,人々の暮らしと持続可能な社会の両立に欠かせない存在である。
本特集では,デジタル技術の活用によりさらなるサービス向上とスマート化を実現する日立の鉄道システムとビルシステムの最新の開発事例を,モビリティセクターの環境への取り組みやニューノーマルへの対応を交えて紹介する。
Cover Story
持続可能な未来のためのモビリティを
人々の暮らしを支える鉄道とビルシステム
気候変動や都市への人口集中といった社会課題の解決と,持続可能な社会の実現に向けた議論が世界中で活発化している。こうした中,CO2排出量の少ない移動手段である鉄道と,高層化するビル内における人々の移動を担う昇降機が改めて注目を集めている。アンドリュー・バー鉄道ビジネスユニットCEOと光冨 眞哉ビルシステムビジネスユニットCEOが,鉄道とビルシステムの各事業について,今後の展望を語った。
持続可能な社会を支えるカーボンニュートラルの実現へ
日立の環境戦略とモビリティ分野の取り組み
カーボンニュートラル達成と経済成長の両立に向けて,再生可能エネルギーや水素のさらなる活用に向けた投資を各国が拡大するなど,脱炭素社会への移行が始まっている。
ここでは,グループ全体を通じた日立の環境戦略と取り組みの事例とともに,環境負荷の少ない移動手段として注目を集める鉄道システム,都市の生活に欠かせないビルシステムの製造・運用・保守を担う,モビリティセクターにおける環境への取り組みを紹介する。
デジタル技術で加速する鉄道システムの変革
持続可能な社会を支える鉄道の姿を模索する
アフターコロナのニューノーマルを見据え,経済・社会活動,そして人々の移動を支える鉄道システムにも変革が求められている。
長年にわたって鉄道システムを支えてきた日立グループは,鉄道を取り巻く課題の克服にどう貢献していくべきか。研究開発グループおよび鉄道ビジネスユニット各部門のリーダーが,鉄道分野の幅広い研究に取り組む東京大学の古関隆章教授を囲み,鉄道システムの今を考え,未来を展望する。
受け継がれる技術で拓く鉄道の未来
日立製作所笠戸事業所100年の歩み
鉄道車両の設計,製造を担う日立製作所 鉄道ビジネスユニットの笠戸事業所が,2021年5月,創立100周年を迎えた。1921年に日本汽船笠戸造船所を吸収合併し,日立製作所笠戸工場として発足して以来,笠戸事業所は蒸気機関車をはじめとするさまざまな鉄道車両の製造を通じて人々の移動を支えてきた。ここでは笠戸事業所100年の歴史とともに,環境への取り組みやグローバル展開について紹介する。
GLOBAL INNOVATION REPORT
「国家グリーン製造体系」への貢献とカーボンニュートラルの実現へ
日立電梯(中国)グループにおける環境への取り組み
日立グループは「脱炭素社会」,「高度循環社会」,「自然共生社会」の実現をめざす環境ビジョンの下,長期目標「日立環境イノベーション2050」を策定している。
グリーン製造体系の構築が宣言した中華人民共和国に生産拠点の多くを置くビルシステムビジネスユニットでは,この動向を先取りした環境活動を推進している。ここでは,中国国内でエレベーターの製造を手掛ける日立電梯(中国)有限公司の環境活動を紹介する。
FEATURED ARTICLES
持続可能な社会の移動を担う鉄道システム
輸送量当たりのCO2排出量が自動車や航空機などと比較して大幅に少ない鉄道が,持続可能な社会を担う移動手段として注目を集めている。ここでは,安全・安心でより便利な鉄道の実現と,車両やシステムの改良・改善によるさらなる環境負荷の削減に向けた,日立の鉄道ビジネスユニットの最新の取り組みと開発事例を紹介する。
ニューノーマル時代の都市を支えるビルシステム
都市における省エネルギー化とCO2排出量の削減,および不特定多数が出入りする建物内の感染症対策へのニーズが高まっている。ここでは,エレベーター・エスカレーターにおける感染症対策を始めとした安全・安心・快適性を向上する機能やサービスなど,日立のビルシステムビジネスユニットの最新の製品・サービスと開発動向を紹介する。