AIの基礎研究
AIの大きな課題はその計算量が膨大な点であり,その大きな部分を占めるのが組み合わせ最適化の処理である。その組み合わせ最適化問題を効率よく解く新しい原理のコンピューティング技術としてイジングモデルを用いた計算機を提案し,20 kスピンを含んだイジング計算機チップを65 nmプロセスで試作した。
イジングチップでは,組み合わせ最適化問題を磁性体のスピンの挙動を表すイジングモデルに写像しその収束動作により問題を解く。収束動作はCMOS 回路により実現した。試作チップにより,100 MHz 動作が可能で実際に組み合わせ最適化問題が解けることを確認するとともに,従来のノイマン型計算機を用いた場合に比べて1,800倍の電力効率で問題を解けることを確認した。