実社会での本格的な活用が始まったAI(人工知能)。世の中の関心が急速に高まる一方,その実態についてまだ多くの誤解があるのが現状です。本特集は多様な顔のあるAIの全体像を捉え,応用の幅広さ,技術の奥深さ,そして汎用AIで実現する革新を紹介しています。予測不能な時代を生きぬくための希望としてのAI,そしてAIと人が共生する未来の姿をここから感じ取っていただければと思います。
ビッグデータ分析から,マーケティング,自動運転など,AI(Artificial Intelligence:人工知能)の活用が広がりを見せている。さまざまな機器の稼働状況や人間の行動といった,実社会から得られる大量のデータとAIとの組み合わせが,ビジネスに新たな可能性をもたらすと期待されている
こうした潮流に先がけて,日立グループは早くから汎用AIの開発と実用化に取り組んできた。そして,独自の技術とコンセプトに基づくAIソリューションにより,ビジネスと社会の革新をめざしている。今回,新たなAIに関して有数のエバンジェリストとして活躍しているヤフー・ジャパンの安宅和人氏を迎え,AIと人が共生する未来の姿をめぐって,日立の汎用AI研究を統括する矢野和男と論を交わした。
私は,実は,機械があまり好きではない。車や電車に乗るのも嫌で,高校も大学も自転車で通える範囲から選んだ。
様々存在する機械の中でも,人工知能的な機能が搭載された家電,特に,「喋る家電」が嫌いである。そういうと,「人工知能プロジェクト(「ロボットは東大に入れるか」)のリーダーなのに?」と怪訝な顔をされる。そういう我が家には当然のことながら電子レンジは,ない。電子レンジで温めると旨い酒は台無しになり,餅は正体をなくす。やはり,面倒でも酒は湯煎,餅は焼き網の方がおいしい。
AI(Artificial Intelligence:人工知能)に注目が集まっている。国際競争力をも大きく左右するこの技術に,政府も大型の予算を投じることが報道されている。
AIがビジネスや社会にどんなインパクトを持つのか,全貌はまだ誰にも見えていない。しかし,未来の片鱗を示す事実が既に起き始めている。それは,商談の場に,論文の記述に,投資判断の場に,そしてネットのつぶやきに出ている。これらの中には,今後こうなるということを示す材料が実は既に出ている。未来は実は既に起きている。