2021 Vol.103 No.2 Research & Development for Global Value Creation持続可能な成長に向けたR&Dの取り組み
ニューノーマル時代の到来により,人々の暮らし方や価値観が大きく変化している。
社会システムのデジタル化が進み,企業の社会的責任としての環境への配慮がますます重要となる中,日立グループは「社会価値」,「環境価値」,「経済価値」の三つの価値向上に向け,IT×OT×プロダクトの日立の強みを生かして,社会イノベーション事業を展開している。
本特集では,グローバルなイノベーション創出の取り組みとして,各分野のステークホルダーとの先進的な協創の事例を取り上げるとともに,最先端の研究開発の成果を紹介する。
Cover Story
新たな価値を創造する日立の研究開発
グローバルイノベーションに向けた変革を推進
気候変動やパンデミックなど,世界はさまざまな課題や変化に直面している。こうした中,日立製作所研究開発グループは「フロントでの価値創生」,「テクノロジーのリーダーになる」を基本方針に掲げ,OT×IT×プロダクトの知見を生かした技術開発と,グローバルな協創を推進している。研究開発グループの取り組みと展望について,鈴木教洋執行役常務 CTO 兼 研究開発グループ長が語った。
ニューノーマルの世界におけるイノベーション
不確実な時代に求められる「深化」と「探索」
技術の進化とともに社会や産業の仕組みが目まぐるしく変化し,新型コロナウイルスの出現によってこれまでの常識や慣習が変化を余儀なくされるニューノーマル時代。その中でイノベーションを創出し,持続的な成長を実現するために,企業経営には何が求められているのか。スタンフォード大学ビジネススクール教授のチャールズ・A・オライリー氏と,日立製作所の鈴木教洋執行役常務・研究開発グループ長が語り合った。
産業と社会を変革するAI&デザイン思考
デジタル人財を育むLumada Data Science Lab.
不確実性の時代と呼ばれる現代において,企業や社会のレジリエンスを高め,デジタルトランスフォーメーションによるビジネス変革を成し遂げるためには,何が必要なのか。デジタル技術の活用による新たな価値創造が期待される領域とは。株式会社野村総合研究所のシニアパートナーである青嶋稔氏と,日立のLumada Data Science Lab.を率いる影広達彦ラボラトリ長との対談を通じて探っていく。
米国におけるモビリティの未来
公平かつ持続可能なモビリティインフラシステムをめざして
COVID-19のパンデミックや気候変動の脅威など,さまざまな課題に直面する米国において,モビリティの将来像はどうあるべきか。日立製作所ワシントンDCコーポレート事務所主催のオンラインインタビューで,全米製造業者協会(NAM)のインフラ・イノベーション・人事担当Vice PresidentのRobyn Boerstling氏が,日立グループのキーパーソンとその展望を語り合った。
日立東大ラボ 産学協創フォーラム 第3回
Society 5.0を支えるエネルギーシステムの実現に向けて
2050年カーボンニュートラルに向けたエネルギーシステムおよび社会技術シナリオの構築による価値創造
気候変動への意識が急速に高まり,温室効果ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルに向けた取り組みが世界中で加速する中,日立東大ラボでは,将来の持続可能な電力・エネルギーシステムのあり方を模索するプロジェクトを推進し,提言書と公開フォーラムを通じてその成果を発信してきた。ここでは,2021年1月にオンラインで開催された3回目のフォーラムでの活動報告と,有識者との議論について紹介する。
FEATURED ARTICLES
グローバル協創の進化と社会イノベーション
COVID-19の感染拡大を契機として,暮らしやビジネスを取り巻く環境や,価値観そのものが急速に変化しつつある。ここでは,安全・安心なまちづくりや,持続可能でレジリエントな社会・産業に向けた日立の取り組みを取り上げ,新たな価値創造に向けたグローバルな協創の事例と開発技術を紹介する。
イノベーションの加速に向けた技術革新
複雑化・多様化する社会課題の解決や新たな価値創生に向けて,日立はOT×IT×プロダクトの技術基盤を活用し,次の成長に向けた拡充を推進している。ここでは,AI,トラスト,Beyond 5G/6GなどのLumadaコア技術やソリューションを取り上げ,デジタルトランスフォーメーションによるイノベーション創出について紹介する。
次世代を切り拓く破壊的技術の創生
将来の社会課題解決のカギは,破壊的技術によるイノベーション創出であり,世界中で取り組みが加速している。ここでは,大規模問題に対応可能な量子コンピュータ,カーボンニュートラル社会で重要となる水素取引プラットフォームや,持続可能な社会に貢献する先進技術と日立の取り組みについて,キーパーソンによるコラムとレポートを交えて紹介する。
DFFTに向けた研究開発
An R&D Strategy for DFFT
データの自由で国際的な流通が,人類に巨大な価値をもたらすことは疑う余地がない。一方,それが個人の人権や,自国の経済利益,国や地域の安全保障などを棄損し得るとの懸念も存在する。DFFTはその解決に向けた日本から世界へのメッセージであり,トラスト概念導入を主眼とする。本稿ではこれへの技術的アプローチのために,まずトラストと従来のセキュリティの差異を考察する。次にDFFTのモデル化を試み,その中で特にデータ流通場面におけるトラストとは何かを定義する。以上を踏まえてDFFTを実現するための基本と考える技術課題を挙げ,その解決に向けた日立の研究開発の取り組みを紹介する。