地球環境問題をめぐって、国際社会は新たな段階を迎えつつあります。この課題解決へ向けて、強く求められるのがグローバルに活動する企業の参画です。持続可能な未来に向けた社会イノベーションへ――。 本号では、デジタライゼーションを背景に変化しつつある地球環境とエネルギーの最前線を概覧し、課題解決に向けた新たなカギを探ります。
地球環境をめぐる国際的な取り組みが,新たなステージに入った。
環境問題が重要な社会課題として国際社会に認識されて久しいが,近年,その解決に欠かせないとして,企業の存在が改めてクローズアップされている。地球環境へ多大な影響を与える企業には環境負荷の低減だけでなく,さらに課題解決への積極的な貢献が期待されている。そして企業自身にとっても,単にリスクへの対応を迫られるだけでなく,むしろ,環境問題をはじめとする社会課題への取り組みが新たな事業機会となり得る。
こうしたパラダイムシフトにあたり,押さえておかなければならないポイントとは何か──。
地球環境問題の解決に向けて,企業への期待が増す中,日立は,環境をめぐる世界の動向を踏まえ,「日立環境イノベーション2050」を策定した。
日立の環境経営でめざす姿を定めた「環境ビジョン」の下,「低炭素社会」,「高度循環社会」,「自然共生社会」の構築を実現していくための環境長期目標を設定している。
デジタル技術と協創で進化する社会イノベーション事業を推進していく中で,グローバルな環境課題に取り組む決意を示した。
日立は「環境イノベーション2050」の中で,「低炭素社会」をめざすべき社会の筆頭とした。バリューチェーンを通してCO2排出量を2050年度までに80%削減(2010年度比)するという具体的な数値目標を表明し,達成に向けてグループをあげてのチャレンジが始まっている。
目標達成の鍵となるのは,日立が提供する製品やソリューションの使用段階でのCO2排出量削減だが,その取り組みはどのように進められていくのだろうか。
日立が低炭素社会をめざす背景と実現へのアプローチについて,CSR・環境戦略本部の高橋和範担当本部長に,事業を通じた具体的な取り組みについて電力・エネルギー業務統括本部の池田啓CSOと株式会社日立産機システムの相馬憲一CTOに聞く。
地球規模での産業化・都市化の進展に伴い,加速度的に深刻化してきた地球環境問題。地球温暖化,資源の枯渇,生態系の破壊といった国境を越えて広がる課題に対し,国際社会は国連を中心に結束して取り組み始めている。
長期的な未来へ向けた持続可能な発展には,環境意識を高め,多様なステークホルダーが団結して行動することが求められるが,日立グループは地球環境問題をどのように捉え,向き合っていくのか――。
日立製作所の田中幸二執行役副社長が語る。
世界各地で相次ぐ自然災害やテロの脅威を背景に,停電への備えを含む電力の安定供給は,住民の安全やセキュリティの面からも各国共通の社会課題となっています。
地球温暖化対策として再生可能エネルギーの導入が進む中,諸課題への有望なソリューションと目されているマイクログリッド――。しかし,その構築・運用にはさまざまなノウハウが求められます。
日立は現在,専門知識を備えたチームを新たに創設し,多くの顧客と対話を重ねながら,エネルギー関連の先進地域である北米マイクログリッド市場の開拓に挑戦しています。
ここでは,エネルギー分野で豊富な経験を持つAlireza Aramが米国市場における最新動向をレポートします。
低炭素社会の実現に向けた世界的な環境規制の動きの中,国内では電力システム改革が同時進行し,電力・エネルギー分野が大きく変わろうとしている。
一方で,地域ごとの課題は多様化しており,きめ細かいソリューションが求められている。
日立の創業製品である回転機とその応用製品は進歩を続け,社会イノベーション事業において大きな役割を果たしている。回転機と同じく約130年前に発見された電磁誘導を基本原理とする変圧器も,電力の安定供給に貢献してきた。