第4次産業革命の時代を迎えている現在,IoTで生み出されるビッグデータやAI・ロボティクスなどの先進技術が社会制度や企業のビジネス,個人のライフスタイルまでをも大きく変えつつある。日立は,経済活動の根幹を成す製造・流通分野において,さらに複雑化・多様化するニーズに応えるため,バリューチェーンの全体最適をめざしてサービスを展開している。本号では,モノづくり・ロジスティクス分野における日立の開発技術・ソリューションを紹介する。
マスパーソナライゼーションへの移行に代表されるデジタル化は,製造業にスマート化という大きな変化をもたらした。第4次産業革命を推進するスマートマニュファクチャリングについて,フラウンホーファ生産技術・オートメーション研究所 Thomas Bauernhansl所長が語る。
世界中でIoT,ビッグデータ解析,AIなどのデジタル技術による製造分野の革新が始まっている。モノづくりのあり方を一変させる新たな動きを,企業はどのように捉え,対応していくべきなのだろうか。経済産業研究所の岩本晃一上席研究員,日立製作所生産イノベーションセンタの野中洋一主管研究長に聞く。
消費者ニーズの多様化と購買行動の変化,企業活動のグローバル化などの経済・社会情勢のさまざまな変化が,産業・流通分野にも変革を迫っている。IT・制御一体でのデジタルソリューションから産業設備ソリューションまで,幅広い産業・流通分野を支える事業を展開している日立の事業コンセプトを紹介する。
産業のスマート化を加速させる取り組みが期待される中,社会イノベーション事業のさらなる進化をめざす日立グループは,課題解決に資する産業のスマート化に向け,さまざまなソリューションやサービスの開発に取り組んでいる。ここでは,その先進事例を紹介する。
現在の製造業においては,開発サイクルの短期化や多品種少量生産への対応が急務となっている。日立はIoTプラットフォームLumadaを活用し,生産性向上や技能伝承などの現場力を強化するための協創を積極的に展開している。その具体例と今後のデジタル化戦略について,製造業向けソリューション開発のキーパーソンに聞いた。
間接資材の通信販売におけるパイオニアとして目覚ましい成長を続ける株式会社MonotaROは,さらなる顧客サービス向上のため,在庫能力と出荷能力の拡大を目的に笠間DCを新設した。そのプロジェクトの核となる物流システムの刷新に携わった日立の2人の関係者に話を聞いた。
世界の産業競争は現在,重大な局面を迎えている。次世代情報技術と製造業のより一層の融合は,大きな影響力のある産業変革を引き起こし,新たな生産方式や産業形態,ビジネスモデル,経済成長分野を次々と形成している。こうした動きの中,「中国製造2025」を掲げ,次世代産業革新の歴史的なチャンスに対峙する中国製造業の最前線の取り組みを追った。
1990年代以降,さまざまなモノづくりの分野で,デジタルエンジニアリングが導入されモジュール化が進み,分業化やグローバル化が加速した。さらに今日ではIoTによる業務プロセスの効率化や最適化だけでなく,バリューチェーン全体をデータ連携して新たな価値を創出することに期待が集まっている。
デジタル技術の導入によりモノづくりとそれを取り巻く事業環境が大きく変わる中,日立はモノづくりに関わるさまざまな知見を生かし,バリューチェーン全体をつなぐデジタルプラットフォームの提供をめざしている。
超スマート社会の実現に向けて,時間や場所の制約を越え,調達から製造,販売にわたるEnd to End視点のバリューチェーンを革新する,グローバルレベルで最適化されたロジスティクスが求められている。これを支える現場は複雑かつ繁雑化しており,これを解決すべく,日立はAIなどのサイバー空間とロボティクスなどのフィジカル空間を活用したグローバルロジスティクスサービスの提供を始めている。
その具体事例として,中国でのグローバル調達ロジスティクスのサービス化,ロボティクス活用による物流センター高度化,小口宅配物流を支える安全な輸配送技術開発,AI技術によるサプライチェーン最適化に取り組むとともに,それらを支える研究開発を推進している。