デジタル技術の急速な発展は,従来の枠組みを越えてさまざまな可能性を広げる一方,新たな脅威や不安といった不確実性のリスクをもたらすものである。本格的なIoT 時代の到来を迎え,企業がグローバル市場を生き抜くためには,デジタル技術を最大限に活用しつつ,社会や経営に対する多くのリスクに万全の態勢で臨まなければならない。
本号では,「知財活動」,「モノづくり基盤」,「人財の育成・教育」という3つの経営基盤に焦点を当て,日立の取り組みを紹介する。
デジタライゼーションが本格化し,生活者の価値観が急速に変化する中,企業は従来のビジネスモデルからの脱却を迫られている。『技術力で勝る日本が,なぜ事業で負けるのか』の著者として知られる産学連携推進機構理事長の妹尾堅一郎氏に,パラダイム転換の背景と,その中で勝ち残る企業の経営基盤のあり方について話を聞いた。
グローバル化とデジタル変革が加速する中,変化に対応するための経営改革が課題となっている。経営環境の変化やマクロトレンドをみずからの優位性としていくためには,どのような変革が必要なのか。経営や組織の基盤である知的財産,モノづくり,人財育成のキーパーソンに,それぞれの分野における変革のビジョンと取り組みについて聞いた。
デジタル化に伴う事業環境や顧客・パートナーとの関係性の多様化・複雑化などを背景として,企業の知財戦略が大きく変わりつつある。長年にわたり製造業やICT業界の知財コンサルティングに携わってきたKIT虎ノ門大学院客員教授ならびにデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社シニアヴァイスプレジデントの小林誠氏を迎え,企業経営における知財戦略について語り合う。
IoTの進展により生まれる膨大なデータを社会課題の解決に生かすには,高度な分析・解析結果を現実世界にいかにフィードバックしていくかがカギとなる。検索エンジンをはじめ,多くのサービスをグローバルに提供するGoogle――その日本法人でテクニカル部門を取りまとめる佐藤聖規氏を迎え,「オープン」や「安全と信頼」をテーマにシステム開発の新しい形について語り合った。
2017年に開始した「タイランド4.0」および「東部経済回廊(EEC)」プロジェクトに続き,タイ政府は2018年,「タイ国家戦略(2018-2037)」を打ち出した。その目的は,デジタル化の推進による豊かな国民生活の実現である。こうしたタイ政府の取り組みに対し,日立にできることは何か――Hitachi Asia (Thailand)Co., Ltd.から,現地の情勢を交えレポートする。
近年,知財の領域は従来の特許権を中心とした知的財産権に加え,データなどを含む広義の知財へと広がっており,これらを活用したオープンイノベーションの推進など,知財活動の重要度が増しつつある。ここでは,日立における知財活動の全体像を概説し,デジタル化・オープン化に向けた新たな活動について紹介する。
グローバルに広がるモノづくり拠点の間で設計・製造業務を柔軟に割り当てる「フレキシブルモノづくり体制」の構築をめざし,日立はグループ横断でモノづくり強化活動を推進している。ここでは,モノづくり基盤技術・人財育成の強化をはじめとする,デジタルトランスフォーメーションを活用した日立のモノづくりについて紹介する。
社会イノベーション事業のグローバルな成長のためには,顧客やユーザーとの対話を通じて発見した社会課題の解決をめざし,デジタルトランスフォーメーションを担う人財の育成が不可欠である。ここでは,コーポレート主導によるグループ横断的な施策や,体制の改編を推進する日立の人財育成・教育の取り組みを紹介する。