2020 Vol.102 No.6 Industry Solutions in the New Normal Eraニューノーマル時代に挑む産業ソリューション
新型コロナウイルス感染症などの脅威により,世界規模でのサプライチェーンの分断や経済活動の停滞といった社会課題がクローズアップされ,自動化,リモート,非接触という新たな価値に対するニーズが急速に高まりつつある。
こうした中,日立は2021中期経営計画の下,デジタル技術の活用を通じて生産や物流の効率化・自動化を図り,高品質・安定生産を実現する産業ソリューションを提供している。
本特集では,プロダクト×OT×ITによる「つながる」技術で新たな顧客価値を創生し,ニューノーマル時代の産業を支える日立の技術と取り組みについて紹介する。
Cover Story
プロダクト×OT×ITでニューノーマル時代の産業界を支えるトータルシームレスソリューション
現場と経営,サプライチェーンの間をデジタル技術でつなぐ
新型コロナウイルスの感染拡大により,人や社会の価値観は大きく変化し,産業界のデジタルトランスフォーメーションが急速に進展している。日立製作所執行役副社長兼インダストリー事業統括本部長の青木優和は,現場と経営,サプライチェーンの「際(きわ)」をつなぐ全体最適化によって企業の持続的な成長を実現する経営が,ニューノーマル時代においてはますます重要になると指摘する。
ニューノーマル時代のものづくりDX
コロナ後に加速する製造業のデジタル化
新型コロナウイルス感染症の影響を受け,世界中の企業がデジタル化を加速している。政府の経済財政諮問会議において2021年度予算編成の指針となる「骨太方針」の骨子が示されるなど,感染症対策と経済活動の両立に向けた投資が進む中で,日本の製造業は今後どのようにあるべきか。独立行政法人経済産業研究所リサーチアソシエイト兼公益財団法人日本生産性本部上席研究員の岩本晃一氏が考察する。
ニューノーマル時代の日本のものづくり戦略とデジタルトランスフォーメーション
「インテグラル」を生かし,良い設計の流れと頑健なサプライチェーンを築く
「日本のものづくりは終わった。これからはデジタルの時代だ」などと言われることがある。しかし,実際はそうではないと,ものづくり経営の第一人者である東京大学の藤本隆宏教授は語る。
デジタルトランスフォーメーションが進展する中,長い苦闘の時期を経てようやくグローバルに戦える位置に立った日本の製造業は,何を強みに,どのような事業戦略をもってニューノーマル時代に臨むべきか。藤本教授を迎えて語り合った。
デジタルで現場と経営,サプライチェーンをつなぐソリューション
業務・企業の垣根を越えてバリューチェーンの全体最適化を実現
顧客ニーズの多様化,新型コロナウイルスの感染拡大によって,産業界においては現場と経営,サプライチェーンにおける業務・企業の間に存在する「際(きわ)」の課題が,これまで以上に顕在化している。ここでは,サイバー空間とリアル空間をデジタル技術でつなぐことで「際」の課題を解決し,バリューチェーンの全体最適化と新たな事業価値の創出を図る日立のソリューションと,協創の最新事例を紹介する。
ロボティクスと自動化技術で産業の現場を変える
次代の製造業を支えるロボットシステムインテグレーターをめざして
自動化とロボティクスは,自動車や食品の製造から通信販売の処理・配送に至るまで,暮らしの中のあらゆる場面に関わっている。2019年12月,先進国を中心に労働人口の減少が社会課題となる中で,米国のロボットシステムインテグレーターであるJR Automation社が日立グループに加わった。ここでは,産業の現場を革新する同社の取り組みと,新型コロナウイルス感染拡大を受けた協創の事例を紹介する。
FEATURED ARTICLES
安心・便利な暮らしを支える産業サービス・ソリューション
新型コロナウイルスの感染拡大によって,世界は防疫と経済活動の両立という難題に直面している。ここでは,少人化,非接触をキーワードにサプライチェーンを支える技術,再生医療に関わる技術,顧客の価値を最大限に引き出す協創プログラムなど,新しいバリューチェーンの確立に向けた日立の取り組みについて紹介する。
品質・安全に貢献する製造ソリューション
地球温暖化,少子高齢化に伴う労働人口の減少など,世界中でさまざまな問題が顕在化している。ここでは,ニーズが高まる自動化,リモート,非接触に関わる技術に焦点を当て,AI技術や映像処理技術を活用した製造現場向けソリューション,リモート環境下での協調作業を支援する設計支援,バリューチェーン連携によるトレーサビリティ管理などの技術を紹介する。