各種社会インフラに加えて暮らしやビジネスで用いられる装置など,現代社会はそれらを構成するデバイスの精緻な機構と,素材・物質の微小な挙動に支えられている。目に見えないものや形のないもの,常に変化し続けるものを可視化する計測技術は,社会の発展の基礎を築いてきた。そこには,グローバルなイノベーション創出の可能性が秘められている。
本号では,日立グループの計測データを活用したソリューションと,世界最先端クラスの計測装置・システムについて紹介する。
急速な技術革新により,人々の生活は過去数十年というわずかな期間に劇的な発展を遂げてきた。では,終わりのないイノベーションを継続するため,これからの時代に必要なものは何か。超微細電子工学と情報技術の分野で世界を牽引する国際研究機関Interuniversity Microelectronics Centre(imec)代表のLuc Van den hove氏が語る。
長年に渡り,日立は電子顕微鏡をはじめとする計測技術・機器の開発に従事してきた。近年では顧客やパートナーとの協創によって新しい装置開発を進めるとともに,計測装置で集めたデータの利活用にも取り組んでいる。こうした中で,日立の計測技術がめざす方向について,日立ハイテクノロジーズ 代表執行役 執行役専務 CTOの池田俊幸が語った。
社会課題の解決に資する新材料の開発が急がれる中,高機能な材料を効率よく開発するための手法としてマテリアルズインフォマティクス(MI)への期待が高まっている。物質・材料研究機構においてMI向け材料データプラットフォーム構築を担当する吉川英樹氏,計測技術のエキスパートとして知られる原徹氏を迎え,MIに関わる日立のキーパーソンとともに,MIの動向,先端計測技術への期待,それらが支える材料開発の未来について論ずる。
1989年,日立は物理学やバイオテクノロジーの研究で世界を牽引するケンブリッジ大学キャベンディッシュ研究所内に研究所を設立し,以来約30年に及ぶ協力関係を築いてきた。常に時代を切り拓いてきた先端研究と計測技術との関わり,日立とのパートナーシップ,そして未来を見据えた研究ビジョンについて,同研究所のAndy Parker所長に話を聞いた。
株式会社日立ハイテクノロジーズと,ストックホルムに本社を構えるヴィロノヴァ社(Vironova AB)は,製薬・生命科学分野における新たなバイオ医薬品の効率的な開発に貢献することをめざしている。ここでは,日立ハイテクノロジーズの機器・システムとヴィロノヴァ社の画像解析・自動化技術を組み合わせた,医療分野のニーズに応える協創事例を紹介する。
SDGsやSociety 5.0で取り上げられる社会課題の解決に向け,モノや人に関するデジタルデータを収集する動きが活発化している。ここでは,日立グループが取り組んでいる人やモノ,環境の物理状態の計測技術と,Lumadaをコアとし,計測によって得られたデータを活用するデジタルソリューションについて紹介する。
日立グループは,電子顕微鏡や光学・超音波を用いた計測・分析から,バイオヘルスケア,電子デバイス,新材料開発にいたるまで,さまざまな分野で社会に貢献する装置やサービスを提供している。ここでは,最先端の計測技術の動向と,社会課題解決に向けた日立グループの取り組みを紹介する。