昇降機は、都市の健全な発展のために欠かせないビル内の交通インフラです。本特集では、ビルや都市などの公共空間が今後めざすべき方向性についての有識者の提言や、日立の昇降機事業の新たな基本コンセプト、グローバル市場に展開する製品群とそれらを支える技術開発・新サービス、お客様との協創活動や実証実験を取り上げています。
日本国内では,これから関東一円で起こる大型の開発ラッシュや,老朽化あるいは耐震性強化のための,既存ビルリニューアル需要の拡大を機に,新たな都市環境,ビル環境の整備への要求が高まっている。
また海外においても,経済成長と都市への人口集中が加速する新興国などで,昇降機をはじめとして新たな環境に対応できるビルシステム導入への関心が強まっている。
長年,プロダクトデザイナーとして,個人が所有するモノのデザインを数多く手がけてきましたが,現在の私の興味は,多くの人が共有する公共空間へと向かいつつあります。その理由は,現状の公共空間が,バリアフリーやユーザビリティーには配慮されているものの,デザイン面からみれば比較的,無頓着に扱われてきたことにあります。
ビル内の交通インフラである昇降機の製品・サービスは,都市の健全な発展のために欠かせない。それらは,より速く,より快適に,そして人の行動に自然に寄り添うことをめざして常に進化している。本稿では,ビルシステム事業のグローバルでの市場環境を概説し,昇降機とビルシステム製品・サービスの展開を紹介する。